枕 橋

いつものまがり角から 他愛のない言葉を交し
いつもと同じ堤通り 肩を並べた君の横顔に
好きだと言えずに 立ち止まる 僕の背中で
君は確かに笑った そんなそんな気がして

 枕橋でふり返る君の肩に咲く花は
 淡い紅を散らして 卯月の風 香らせる 遠く…

隅田の流れる様は 夢を語るには悲しすぎると
河をのぼるカモメに話しかける 君の横顔に
言葉をなくして立ち止まる 僕の心で
君は確かに笑った そんなそんな気がして

 枕橋でふり返る 君は彼に嫁ぐという
 淡い想い散らして卯月の風 駆け抜ける

 枕橋でふり返る とめどもない時の中で
 おき去られたこの場所に 
 大切なものをなくしたような
 そんな…
inserted by FC2 system