夕化粧

黄昏の喧噪に包まれて 夕陽に落ちた長い影の中
巡る季節と 風景に背を向け 歩く人々の 姿がある

  幼心に刻んだ母の手の 温もりも今は消え
  白粉を付けて遊ぶ 私はもうここにいない

ああ誰もが密やかに燥めきながら咲きたいと
願う時期が幾つかある どんな人の 心にさえ


道端に咲く 夕化粧を 秋を告げて吹く風に乗せると
まるであなたへの想いの様に くるくると舞い落ちてゆく

  確かに時は流れて 変わってゆく私がいる
  だけど変わらない私がいた それもまた確かなこと

ああ誰もが美しく輝きながら散ってゆく
そんな時期を幾つか過ぎて やがて大人になってゆく

ああ誰もが美しく輝きながら散ってゆく
そんな時期を幾つか過ぎて やがて大人になってゆく
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